抹茶を贅沢に使い、ホワイトチョコレートと生クリームを重ね、焼き上がりにマルサラ酒のシロップを含ませて仕上げる、しっとり上質な抹茶パウンドケーキを、米粉を使ってグルテンフリーで作ります。
米粉を使うことで口に入れた瞬間ふわりとほどける繊細な生地に。さらに米本来のやさしい自然な甘みが砂糖の角を丸くし、抹茶の香りと旨みを引き立てます。抹茶の凛としたほろ苦さがクリアに際立つのも米粉ならではの魅力です。
一切れを切り分けようとナイフを入れるだけで“すーっ”と吸い込まれていくほど、しっとりきめ細かな生地。口に含んだ瞬間ふわりとほどけ、まるで舌の上で溶けていくかのような極上の口どけです。その繊細さと上質な食感は、これまでのパウンドケーキの印象を覆すほどの美味しさ。
日本が誇る抹茶を惜しみなく用い、その深い旨みと、気品ある上質なほろ苦さを引き出しました。そこにホワイトチョコレートのやさしい甘みと生クリームのまろやかなコクが重なることで、抹茶本来の香りと豊かな風味に丸みが加わり、和と洋が絶妙に調和した、奥深くもやさしい味わいに仕上がります。
さらに、焼き上げたケーキへマルサラ酒のシロップを打つことで、豊かな香りと気品ある甘みが全体に行き渡り、日を追うごとに味わいが熟成。翌日、二日目と、時間とともに変化していく贅沢な風味を楽しめるのも、このパウンドケーキの大きな魅力です。
丁寧にひとつひとつの工程を重ねるからこそ生まれる、うっとりするほどの格別の味わいと口溶け。グルテンフリーでありながら満足感はそのままに、日本の抹茶の魅力を再発見できる特別な一品として、贈り物にも自分へのご褒美にもふさわしい、心満たされる至福のケーキをぜひお楽しみください。
材料 (18cmパウンド型1台分)
- 無塩バター 100g
- グラニュー糖 80g(お好みで90gに調整)
- 全卵 90g
- ホワイトチョコレート 40g
- 生クリーム 30g
- 製菓用ミズホチカラ(米粉) 90g
- アーモンドプードル 20g
- 抹茶 10g
- ベーキングパウダー 2g
- 塩 ひとつまみ
- 水 20g
- グラニュー糖 20g
- マルサラ酒 10g
(マルサラ酒はイタリア・シチリアの酒精強化ワインです。ティラミスやザバイオーネなどのイタリア菓子で使われる定番酒で、使用すると芳醇な香り・上品な甘み・保存性アップをもたらします。抹茶のパウンドケーキに使用すると、抹茶の渋みに丸みを出し、ホワイトチョコの甘みを引き立て、パウンドケーキの芳しい香りがさらに大人っぽい贅沢な仕上がりになります。なしでも作れますし、ラム酒やお好みのリキュールでも代用できます。)
- ホイップクリーム、あずき、ミントなどお好みで適宜
下準備
- バターと卵は室温に戻しておく。
- 型にクッキングシートを敷く。
- 米粉、アーモンドプードル、抹茶、ベーキングパウダー、塩は合わせておく。
- ホワイトチョコレートを湯煎(50〜60℃)にのせ、溶けたら生クリームと合わせて混ぜておく。
- オーブンは170℃に予熱しておく。
工程
1. ボウルにバターを入れ、クリーム状になるまでよく練る。
Point !!
バターは柔らかくしておくのがポイントです。冷蔵庫から出して20〜30分(冬場は40分以上)室温に置きましょう。指で軽く押すと「すっと跡がつく」くらいがベストです。急いでいる場合は600Wのレンジで20秒加熱することもできますが、バターが溶けてしまうと性質が変わってしまいます。今回のふんわりしっとり軽いパウンドケーキが作れなくなってしまうので、加熱し過ぎには十分ご注意してください。
2. グラニュー糖を加え、ゴムベラで馴染ませたら、白っぽくふんわりするまでハンドミキサーで泡立てる(ハンドミキサーが無い場合は、ヘラやホイッパーで混ぜてください)。
Point !!
砂糖の結晶がバターに擦り込まれると、無数の細かい“気泡の核”ができます。これがオーブンで膨張して、生地をふんわりさせ、きめ細かいクラムを作ります。また、しっかり混ぜることでこの後加える卵が分離しにくくなるので、ここでしっかり混ぜるのがポイントです。クリーム色のバターが白っぽくなりふわっとエアリーになるまでしっかり混ぜてください。混ぜている間に温度が上がりバターが溶けてきてしまった場合は、氷水を当てたボウルにのせるなどして温度を下げて調整しましょう。
3. 溶いた卵を少しずつ加えながら、ハンドミキサーで良く混ぜる(ハンドミキサーが無い場合は、ヘラや ホイッパーで混ぜてください)。
Point !!
この卵を加える工程は「乳化(油と水をなじませる)」の勝負所です。ここで失敗すると分離して膨らみが悪くなったり、油っぽい食感になってしまいます。分離させないためには、まず卵は常温にしておくことです。そして黄身にはレシチンという水と油を繋ぐ役割がありますので、黄身と白身をしっかり混ぜておくことが大切です。また卵は一気に加えず数回に分けて、都度良く混ぜるようにしましょう。万が一「分離しかけてるな」と思ったら、卵の追加を止めて、今入っている分を完全になじませることに集中してください。どうしても油が浮くようなら、粉をひとつまみ足して安定させてから次へ進むようにしましょう。
4. ホワイトチョコレートと生クリームを合わせたものを加えて、ハンドミキサーで良く混ぜる(ハンドミキサーが無い場合は、ヘラやホイッパーで混ぜてください)。
Point !!
ホワイトチョコを加えるとホワイト チョコレートの油分とミルキーなコクと旨みで、パウンドケーキ全体がしっとり濃厚に仕上がります。また、バターだけよりも「口どけのよいコク」が出ます。さらに生クリームを加えると、バターだけでは出せない「口どけの良いコク」「ミルキーな濃厚さ」が加わります。牛乳を加えるレシピもありますが、生クリームの方が分離の失敗がしにくく、よりしっとりし、2〜3日後でも柔らかく、むしろ味がなじんで美味しくなります。ホワイトチョコレートと生クリーム双方を加えることで油分と糖分が増え、乾燥しにくく、数日たってもしっとり感が続きます。
5. 合わせておいた粉類をふるい入れ、ゴムベラで馴染ませたらハンドミキサーでしっかり混ぜる(ハンドミキサーが無い場合は、ヘラやホイッパーで混ぜてください)。
Point !!
ここでしっかり混ぜるのがポイントです。ハンドミキサーで、重たい生地が軽くなり、なめらかでツヤのある状態になるまで、しっかり約2分間ほど混ぜましょう。驚くほど口溶け良く、キメの細かい軽くてふわふわの生地の美味しいパウンドケーキが焼けます。
6. クッキングシートを敷いたパウンド型に生地を入れ平らにし、軽くトントンと空気を抜いたら、真ん中に切り込みを入れる。
Point !!
クープを入れガイドラインをつけてあげると、真ん中に割れが1本綺麗に入り、これにより膨張するガスや水蒸気の逃げ道ができて、生地が自然に持ち上がり、ふっくら仕上がります。
7. 170℃のオーブンで約35〜50分焼く(竹串を刺して生地がついてこなければOK)。
Point !!
竹串に液状の生地がつく場合は焼き不足です。追加で5分ほど焼いて再チェックしてください。竹串に生地がつかない、またはモロモロとしたほんの少し湿ったカスが少し付いていれば理想の焼き上がりです。
8. 焼いている間にアンビバージュ(シロップ)を作ります。水を火にかけ沸いたら火を止め、グラニュー糖を加えて完全に溶けたら、マルサラ酒を加えます。
Point !!
ケーキは焼成後に乾燥しやすいですが、アンビベ(シロップを塗ること)すると水分補給の役割をして、生地のパサつきを防ぎます。特に数日置くタイプのパウンドでは、しっとり食感を長持ちさせるのにとても有効です。マルサラ酒やお好みのリキュールを加えると、さらに生地全体に芳醇な香りが加わり、仕上がりに高級感が生まれます。
9. 焼き上がったら少し高いところから落とします。
Point !!
蒸気や余分な熱を抜くために、少し高いところからショックをあたえます。焼き上がった直後の生地は中に熱い蒸気を多く含んでいて、軽くショックを与えることで生地の中の蒸気が外に逃げ、急激なしぼみを防いだり、焼き縮みを均一にしたり、生地のべちゃつきや底の生焼けを防ぎます。
10. 熱いうちにアンビベ(シロップを打ち)しラップに包んで一晩ほど休ませる。
Point !!
生地が熱々のうちにシロップを打ちましょう。冷めてしまうと生地の構造が固まってシロップの染み込みが悪くなってしまいますが、焼きたての生地は内部がふんわり緩んでいて、シロップがよく浸透します。焼きたての香りや蒸気が立ちのぼっているうちにシロップを加え、生地をしっとりさせるとともに、芳しい風味を封じ込めましょう。また、シロップはケーキが熱いうちに温かいシロップを打つことでアルコールが飛び、良い風味が残ります。そして生地とシロップの温度差が少ないので、表面から内部までより深く均一になじみ、しっとり感が強く続きます。そして糖分の膜が表面にできて乾燥防止効果も高くなります。
11. 一晩おき、カットしてお好みでホイップクリームやあずき、ハーブなどを添えて出来あがりです。
食べ頃

抹茶パウンドケーキは「焼きたてが一番」ではなく、少し寝かせた方が味も食感も整って美味しくなるお菓子です。基本的には翌日〜2日目が最もおすすめの食べ頃です。
食べ頃の始まり。シロップや油脂が全体になじみ、しっとり感と抹茶の風味が調和します。
生地の水分と甘みが均一に回り、口当たりがさらになめらかになります。抹茶の苦みがまろ やかになり、ホワイトチョコなどの副素材とも馴染みます。
保存方法

常温保存(2〜3日以内)
- 粗熱が取れたらラップでぴったり包む。
- さらに保存容器や袋に入れて冷暗所に置く。
- 夏場は常温NG、冷蔵へ。
冷蔵保存(5〜6日程度)
- ラップ+密閉容器。
- 食べる前に常温に戻すと、バターが柔らかくなってしっとり感が蘇ります。
冷凍保存(2〜3週間)
- 1切れずつラップに包み、さらにフリーザーバッグへ。
- 食べるときは常温解凍(2〜3時間)。
- しっとり感を戻したい場合は、ラップごと電子レンジで5〜10秒軽く温めてもOK。